2017年10月20日 更新

妊娠中の飲酒は避けましょう

習慣的に飲酒をしていた人は、妊娠に気がついたら赤ちゃんのためにお酒をやめるという決断を。

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アルコールは胎児に悪い影響を与えることも

 妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール・スペクトラム障害と総称される、胎児の先天異常や発育不全を引き起こすことがあります。厚生労働省によると日本での発生頻度は、1990年の全国調査で、1000人あたり0.1人以下でした。しかし最近は若い女性の飲酒機会が増加し、それに伴い習慣的に飲酒する女性が増えているため、発症も増えている可能性が危惧されています。2010年の調査では妊娠中に飲酒した経験のある妊婦は、8.7%もいました(乳幼児身体発育調査)。
 「妊娠に気がつく前にアルコールを飲んでしまった!」という人は、胎児への影響を心配しているかと思います。でも、妊娠中のアルコール摂取が、必ずしも胎児性アルコール・スペクトラム障害を引き起こすわけではありません。一度に大量に摂取したり、少量でも継続的に摂取し続けることで、胎児性アルコール・スペクトラム障害の発育リスクは増大します。逆に少量、または1回くらいの飲酒では、胎児にはあまり影響がないという説もあるのです。しかし、350mlの缶ビール1本程度の少量飲酒で発症することもあるといわれており、飲んでも問題のない酒量は明らかになっていません。とくに、妊娠初期は胎児の器官形成期のため、顔や頭蓋骨の発育異常などが起きる可能性があることや、妊娠中~後期でも発育や中枢神経に悪影響があることなどが報告されています。
 つまり全妊娠期間を通じて、妊婦の飲酒は胎児へ悪影響がありうるといえます。アメリカの小児科学会は、妊婦と胎児にとって飲酒をして安全といえる妊娠の時期やお酒の種類(アルコール濃度)は存在しないと報告しています。
 妊婦の飲酒は胎児への影響のみならず、妊婦本人のうつ状況の悪化を引き起こすこともあります。アルコールを摂取すると、一時的に気分が高揚しますが、酔いがさめた後に、さらに重いうつ症状に陥ってしまうのです。うつ病は、女性の場合5人に1人が一生のうち一度はなるといわれるほど、とても身近な病気です。とくに妊娠~産後の時期は、女性のライフステージの中でももっとも発症しやすいといわれています。妊娠中のうつは、そのまま産後うつにつながることもあります。これは、育児放棄や児童虐待をも引き起こしかねないので、悪化させないことが大事です。予防のためにも妊娠がわかったら飲酒はやめましょう。
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この記事の著者

長谷川潤一先生 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学 准教授 長谷川潤一先生 聖マリアンナ医科大学 産婦人科学 准教授