2017年6月2日 更新

胎児にも感染の可能性がある妊娠中の食中毒について

妊娠中の食中毒は、嘔吐や下痢といった症状そのもののつらさもありますが、場合によっては胎児にも感染して、深刻な影響を及ぼすものもあります。妊娠中の食中毒について解説します。

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激しい下痢や嘔吐で切迫流産・早産などの可能性が

食中毒は、食べ物とともに付着している細菌、ウイルス、自然毒、寄生虫などが体内に入ることによって、嘔吐、下痢、発熱などを起こします。

細菌で代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O-157など)、カンピロバクター、リステリア、サルモネラ、ウェルシュ菌などです。ウイルスは牡蠣に付着しているノロウイルス(ノロウイルスへリンク)、自然毒はフグや毒キノコ、寄生虫は生鮮魚介類などにいるアニサキスなどがよく知られています。

食中毒を起こすと、激しい嘔吐・下痢などでおなかが張ってしまったり、脱水などを起こしたりすることによって切迫流産、切迫早産を招くことがあります。妊娠中には食中毒を起こさないよう、十分に注意をしたいものです。

原因となる病原体のなかには胎児に感染してしまうものも

食中毒を起こす病原体微生物の多くは胎盤を通過しませんが、一部、胎盤を介しておなかの赤ちゃんに感染し、影響を及ぼすものもあります。妊娠中の食中毒で、注意すべき代表的なものを下記に挙げます。

【リステリア菌】
元々は河川水や動物の腸の中にいる細菌ですが、さまざまな食品に付着して、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できるため、食中毒の原因となります。健常者では、多量のリステリアを摂らなければ食中毒にはならないのですが、妊娠中は感染しやすいことと、感染すると、リステリアが胎児へ感染し、流産を起こしたり、新生児に影響を及ぼしたりする可能性があり、注意が必要です。ハムやチーズなど、冷蔵庫で長期間保存できる食品は消費期限を守り、非加熱のチーズやパテ、スモークサーモンなどは避けるようにしましょう。生野菜や果物は、食べる前によく洗いましょう。

【カンピロバクター】
鶏や牛などの家畜やペット、野生動物など幅広い多くの動物にいる細菌です。感染は、主に生肉や加熱不十分な状態で食べたことにより起こります。国内でのカンピロバクター食中毒では鶏肉からの感染が最も多く報告されており、鶏レバー、ささみなどの刺身、タタキ、鶏わさなどの半生や加熱不足による発症が頻繁に起こっています。症状は下痢、腹痛、発熱、嘔吐、頭痛、悪寒などで、他の細菌性食中毒と同じです。たいていは1週間程度で治るのですが、妊婦さんが感染すると胎児にも感染し、流産・死産や脳神経障害などを起こす恐れがあり、注意が必要です。

【E型肝炎ウイルス】
E型肝炎ウイルスに汚染された豚やシカ、イノシシなどの過熱不十分な肉や、水を摂取することによって、発熱やむかつき、腹痛などが起こります。妊娠後期の妊婦さんが感染すると劇症肝炎になる割合が高く、感染した妊婦さんのおよそ20%が死亡する、というデータがあります。おなかの赤ちゃんに感染するかどうかは分かってはいませんが、治った妊婦さんの赤ちゃんの発育には問題がないいう報告もあります。

こうした食中毒を起こす病原体に感染しないようにするには、妊娠中は生肉や生ものを食べないこと、肉は十分に中まで火を通して食べることが大切です。また、肉を調理した包丁やまな板はきれいに洗って殺菌するまで、ほかの食品を取り扱わないようにしましょう。
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この記事の著者

Babyplus編集部 Babyplus編集部